MENU

Vertex AI — GCP統合ML/生成AIプラットフォーム

Vertex AI アイキャッチ
Vertex AI

Vertex AIは2021年5月のGoogle I/Oで発表された、Google Cloudの機械学習統合プラットフォームである。それまでGCPに散在していたAI PlatformやAutoML、AI Hubといったプロダクトを一つの傘の下に再編し、データ取り込みからモデル学習、デプロイ、監視までを一気通貫で扱えるようにした。2023年以降は生成AIブームに合わせてPaLM 2やGemini系モデルを呼び出す「Model Garden」「Generative AI Studio」が追加され、いわゆるLLM/マルチモーダルモデルの実行基盤としても急速に拡大している。本記事ではVertex AIの全体像、伝統的ML機能、生成AI連携、そしてSageMakerなど他社プラットフォームとの比較を整理する。

目次

この記事の目次

  1. AI Platform時代の系譜を統合
  2. 伝統的MLを支える機能群
  3. 生成AIを呼び出すModel Garden
  4. SageMakerやAzure MLとの位置取り
  5. まとめ

AI Platform時代の系譜を統合

AI Platform時代の系譜を統合

GoogleのクラウドML製品は、もともと2017年頃の「Cloud Machine Learning Engine」、その後「AI Platform Training/Prediction」「AutoML Tables」「AI Hub」と複数の名前で点在していた。プロダクト名が頻繁に変わり、コンソール上の場所も移ろっていたため、利用者から「どこに何があるのか分かりにくい」という不満が長く続いていた。Vertex AIはこの混沌を一旦リセットし、すべてを「Vertex」という単一プロダクトに集約する目的で2021年に立ち上げられた。

再編後は「データ>特徴量>学習>評価>デプロイ>監視」というMLライフサイクルが、メニュー上でも自然に左から右へ並ぶ構成になった。2023年以降の生成AI時代では、PaLM 2やGemini系を呼ぶ「Generative AI on Vertex AI」、サードパーティモデルも含めて選ぶ「Model Garden」がメニューの上位に並び、急速に重みが増している。「伝統的ML」と「生成AI」の二つを単一基盤に同居させた点が、現在のVertex AIの大きな特徴である。

伝統的MLを支える機能群

伝統的MLを支える機能群

Vertex AIで伝統的なMLを動かす場合、中心になるのは「Training」「Feature Store」「Pipelines」「Model Registry」といったコンポーネント群である。TrainingはTensorFlowやPyTorch、scikit-learnなどのコードをコンテナ化し、GPUやTPUクラスタ上で実行する。ハイパーパラメータチューニングや分散学習に対応し、自社で学習基盤を組まずに済む。

Feature Storeはオンライン・オフライン両方の特徴量を中央管理する仕組みで、推薦システムや不正検知などの本番運用で重宝される。PipelinesはKubeflow Pipelines互換のDSLで、データ前処理から学習・評価・デプロイまでをグラフとして定義できる。Model Registryに登録したモデルはエンドポイントへワンクリックでデプロイでき、Model Monitoringで本番のドリフトを監視するところまで一連のメニューで完結する。

生成AIを呼び出すModel Garden

生成AIを呼び出すModel Garden

2023年以降のVertex AIでは、「Model Garden」と呼ばれるカタログから多数の生成AIモデルを選んでAPI経由で呼び出せる。Google自社のGeminiやImagen、Embeddings APIに加え、AnthropicのClaude、MetaのLlama系、Mistralなどパートナーやオープンソースモデルも揃う。リージョン選択やプライバシ設定がGCPのIAMと統合されているため、企業向けのコンプライアンス要件にも合わせやすい設計だ。

「Generative AI Studio」と呼ばれるUIではプロンプトのテストやファインチューニング、グラウンディング設定を画面操作で行える。RAG(検索拡張生成)構成も、Vector SearchやBigQuery、Cloud Storageと組み合わせて構築でき、Vertex AI Agent Builderを使えば対話エージェントの骨格まで作れる。「自社の特定データに沿った業務向けLLMアプリ」を、ゼロから組まずに作れる点が、伝統的なMLにはなかった新しい価値となっている。

SageMakerやAzure MLとの位置取り

SageMakerやAzure MLとの位置取り

クラウドML基盤の三大製品はAWSのSageMaker、AzureのAzure Machine Learning、そしてGCPのVertex AIである。SageMakerは2017年から続く老舗で、機能数の幅広さでは最大級だが、その分プロダクト境界が複雑になりがちだ。Azure MLはOpenAIとの提携を背景にGPT系モデル統合に強く、Windows/Microsoft資産との親和性が高い。

Vertex AIの強みは、Geminiという自社最先端モデルへの最適化、BigQuery・Dataflow・Pub/SubといったGCPデータサービスとの密結合、そしてKubeflow PipelinesベースのMLOpsだ。「データ基盤がBigQuery寄りで、生成AIにも触れたい」「Kubernetes+Kubeflow資産がある」組織にとっては自然な選択肢になる。他クラウドのML資産を持つ場合でも、Model Gardenから単発でGeminiやClaudeを呼びに来るというハイブリッド利用も増えており、その点でも独自の存在感を放っている。

まとめ

Vertex AIは2021年にGCPのバラバラなML製品を統合する形で生まれ、その後の生成AIブームを取り込みながら、伝統的MLからLLM/マルチモーダルまでを一つの基盤で扱えるプラットフォームへと成長している。Training・Feature Store・PipelinesといったMLOps機能と、Model Garden・Generative AI Studioといった生成AI機能が同居する構成は、今のクラウドAIプラットフォームに求められる要件を素直に反映している。GCPのデータ基盤と連携しつつ最先端モデルに触れたい組織にとって、Vertex AIは引き続き有力な実装拠点であり続けるだろう。

※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次