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BGP — インターネットの背骨を支える経路交換プロトコル

BGP アイキャッチ
BGP

BGP(Border Gateway Protocol)は、独立して運用されるネットワーク(AS:Autonomous System)どうしが経路情報を交換するためのプロトコルで、現代のインターネットを形作る中枢的な仕組みです。1989年6月にIBMのヤコブ・レックター氏とCiscoのカーステン・ロッキー氏らがRFC 1105として最初のバージョンを公開し、1994年のRFC 1771でBGP-4へと改訂され、2006年にはRFC 4271として現在の仕様が標準化されました。ISP相互接続点(IX)からハイパースケーラのバックボーンまで、世界中のASがBGPで結ばれて到達性を保っています。

目次

この記事の目次

  1. AS間でNLRIを交換するパス指向設計
  2. RFC 1105からBGP-4への進化
  3. ISP・データセンタ・クラウドでの使われ方
  4. IGPとの役割分担と運用上の難しさ
  5. まとめ

AS間でNLRIを交換するパス指向設計

AS間でNLRIを交換するパス指向設計

BGPはTCPの179番ポート上で動作するパスベクトル型ルーティングプロトコルで、OSPFやIS-ISのようなIGP(同一AS内のプロトコル)と異なり、AS番号を単位として経路情報を扱います。経路の実体はNLRI(Network Layer Reachability Information)と呼ばれるプレフィックスの集合で、各経路にはAS_PATH(経由したAS番号の列)、NEXT_HOP、LOCAL_PREF、MED、ORIGINといった属性が付与されます。受信側ルータはこれらを評価し、最終的にRIB(Routing Information Base)へ最良経路を1つだけ採用します。

経路選択はベンダーや実装ごとに微妙な差はあるものの、RFC 4271で定められた優先順序(高いLOCAL_PREF、短いAS_PATH、低いORIGIN、低いMED、外部より内部、最も近いIGPコスト、最小ルータID)に従って一意に決定されます。この明示的なタイブレーク手順があるおかげで、世界に数十万あるBGPルータが互いに矛盾しない経路選択を行えるわけです。AS_PATHにはループ防止の役割もあり、自AS番号が含まれる経路は自動的に破棄される仕組みになっています。

RFC 1105からBGP-4への進化

RFC 1105からBGP-4への進化

BGPの初版RFC 1105は1989年6月、3 days hackathonとして書かれたと言われる「3 napkins protocol」の逸話で知られ、当時急成長していたインターネットの相互接続を支えるためにEGPの後継として急ぎ標準化されました。1990年のRFC 1163でBGP-2、1991年のRFC 1267でBGP-3を経て、1994年のRFC 1771で現在の基礎となるBGP-4が定義され、CIDR(Classless Inter-Domain Routing)導入によるプレフィックス長対応が組み込まれました。

2006年のRFC 4271はBGP-4の仕様を整理し直したもので、現行運用の規範になっています。拡張も次々と加えられ、IPv6を扱うMP-BGP(RFC 4760, 2007年)、4オクテットAS番号(RFC 6793, 2012年)、経路署名のRPKI/ROA(RFC 6480以降)、BGPsec(RFC 8205, 2017年)といったセキュリティ強化が進んできました。それでも経路ハイジャックや誤広告のインシデントは絶えず、運用面ではIRRやRPKIによるフィルタリングが2020年代に急速に普及しています。

ISP・データセンタ・クラウドでの使われ方

ISP・データセンタ・クラウドでの使われ方

BGPの主戦場はISP(Internet Service Provider)どうしの相互接続です。Tier-1キャリアは互いにフルルート(2026年時点でIPv4が90万経路超、IPv6が20万経路超)を交換し合い、JPIXやDE-CIX、AMS-IXといったインターネットエクスチェンジ(IX)でも数百のASがBGPで経路を共有しています。Route ServerやRoute Reflectorといった補助機構によって、N対NのBGPセッションを実用的な数に抑える工夫も普及しています。

近年はデータセンタ内部でもCLOSファブリック上で「EBGP-as-IGP」と呼ばれるBGP運用が一般化し、FacebookやMicrosoftが論文で公開した設計が標準的な参照になっています。AWS Direct Connect・Azure ExpressRoute・Google Cloud Interconnectのようなクラウド専用線もBGPで経路交換し、オンプレミスとクラウド間の到達性を制御します。AnycastによるDNSルートサーバやCDNエッジの広域分散も、同一プレフィックスを複数地点からBGPで広告することで実現されています。

IGPとの役割分担と運用上の難しさ

IGPとの役割分担と運用上の難しさ

BGPはAS間プロトコル(EGP)として設計され、経路選択はメトリックよりも管理者が決めるポリシー(LOCAL_PREFやMED、コミュニティ)を優先します。経路数も非常に多く、IPv4だけで2026年時点に世界全体で90万を超えるため、収束速度よりも安定性・抑制(route flap damping)を重視する運用が標準です。対してOSPFやIS-ISといったIGPはリンクコストを基にAS内のトポロジを高速収束させる設計で、得意領域がはっきり異なります。

運用面の難しさは、BGPが基本的に「広告された経路を信じる」プロトコルである点に集約されます。2008年のYouTubeパキスタン事件や2021年のFacebook全停止のように、誤った広告や設定ミスが世界規模の障害につながる例が繰り返し起きてきました。そのため、RPKI/ROAによる起源検証、ピアごとのprefix-listフィルタリング、MANRS(Mutually Agreed Norms for Routing Security)の遵守などが業界標準として広がっています。BGPは「単純な仕組みだが運用の質で決まる」典型的なプロトコルです。

まとめ

BGPは1989年のRFC 1105に始まり、1994年のBGP-4、2006年のRFC 4271を経て現代まで使われ続けるAS間ルーティングの標準です。AS_PATHや属性を使ったポリシー駆動の経路選択は、ISPからデータセンタ、クラウド相互接続まで幅広く採用されています。RPKIやBGPsecによるセキュリティ強化が進む一方で、運用ミスが世界規模の障害を招くリスクは依然として残る重要技術です。

※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

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