
New Relicはアプリケーションの応答時間、スループット、エラー率、データベースクエリ性能などをサーバー側のエージェントで自動計測し、ブラウザ上のダッシュボードで可視化するAPM(Application Performance Monitoring)の草分けSaaSです。2008年にCEO Lew Cirne(社名「New Relic」は本人氏名「Lew Erlic」のアナグラム)が設立し、サンフランシスコを拠点に世界中の開発組織へ展開しました。2014年12月にNYSE上場、2023年7月にFrancisco PartnersとTPGによる66億ドルでの非公開化を経て、現在は使用量ベースの「New Relic One」プラットフォームへと進化を続けています。
この記事の目次
- APM・インフラ・ログ・トレースの統合
- Lew CirneとAPM市場の創出
- 本番運用で日常的に救うシーン
- Datadog・Dynatraceとの三つ巴
- まとめ
APM・インフラ・ログ・トレースの統合

New Relicの構成要素は大きくAPM、Infrastructure、Logs、Distributed Tracing、Browser/Mobile監視、Syntheticsに分かれており、1社内のWebサービス・コンテナ群・モバイルアプリ・合成監視チェックを単一プラットフォームで束ねます。Java・Ruby・PHP・Python・.NET・Node.js・Goなど主要言語へエージェントを差し込むだけで、Webリクエスト・SQLクエリ・外部API呼び出し・キャッシュアクセスが自動計測され、「いま遅いトランザクションは何か」が15秒以内にダッシュボードへ現れます。
近年は「New Relic One」と呼ばれる統合プラットフォームへ集約され、NRQL(New Relic Query Language)でSQLライクに全データを横断検索できます。OpenTelemetryデータの取り込みにも対応しており、自社計装のテレメトリをそのまま送って可視化することも可能です。可観測性の三本柱(メトリクス・ログ・トレース)に加え、エラー追跡やフロントエンドのCore Web Vitalsまで1画面で見渡せる点が、競合のDatadogやDynatraceと並ぶ「フルスタック可観測性プラットフォーム」と呼ばれる所以です。
Lew CirneとAPM市場の創出

創業者Lew Cirneは1998年にもJava向けAPMの先駆け「Wily Technology」を立ち上げ、2006年にCAテクノロジーズへ売却した経歴を持つ連続起業家です。Wily時代はオンプレ向けエンタープライズ製品でしたが、エンタープライズ販売の長期サイクルと高額さに辟易したCirneは、「クレジットカード1枚と数分の登録でAPMが使えるSaaS」を目指して2008年にNew Relicを設立しました。Web2.0スタートアップ全盛期と重なり、Ruby on RailsアプリのAPMから一気に普及していきます。
2014年12月にニューヨーク証券取引所へ上場(ティッカーシンボルNEWR)し、APM市場のリーディングカンパニーとしての地位を固めました。競合の台頭で成長率が鈍化した時期もありましたが、2023年7月にプライベートエクイティのFrancisco PartnersとTPGが計66億ドルで買収・非公開化を発表。上場の制約を離れて長期的なプラットフォーム投資へ振り切る判断を行い、現在もLew Cirneは戦略的に経営へ関与し続けています。
本番運用で日常的に救うシーン

代表的な日次運用は、デプロイ前後のAPM画面の比較です。リリースマーカーをグラフに打ち込んでおくと、新バージョン投入の直後にレスポンス時間が悪化していないか、新たなエラー種が増えていないかを瞬時にチェックできます。悪化が見つかれば「Transaction Trace」を開いて、どのコード行・どのSQL・どの外部APIで時間を食っているかをミリ秒単位で突き止められます。「Apdex」と呼ばれるユーザー満足度指標を採用しており、応答時間を快適・許容・不満の3区分で集計してSLOの議論に使うのも定番です。
Infrastructure監視ではホスト・コンテナ・Kubernetesクラスタのメトリクスを集約し、AWS/GCP/Azureのクラウドサービス利用状況とも統合します。クラウド請求データと性能データを同じNRQLで横断クエリできるため、「コストは2倍になったが性能改善しているか」といったFinOps的な分析も可能です。Syntheticsで世界各地から定期的にWebサイトを叩いて応答時間を記録すれば、ユーザーが気付く前に障害を発見できる「外形監視」の役割もこなします。
Datadog・Dynatraceとの三つ巴

現在の可観測性SaaS市場は、Datadog、Dynatrace、New Relicの三つ巴に、Splunk Observability(旧SignalFx)、Cisco AppDynamicsが続く構図です。Datadogは積極的な営業と豊富なインテグレーションでシェアを伸ばし、Dynatraceは「Davis AI」と呼ばれる自動因果分析が強みです。AppDynamicsはCisco傘下で大企業へ深く浸透しています。
New Relicは2020年に「ホスト数課金からデータ取り込み量+ユーザー数の使用量課金」へ大胆に転換し、無料枠100GB/月を提供する戦略を取りました。「まず開発者個人が無料で試せる」プライシングと、NRQLでSQLライクに全テレメトリを問い合わせられる柔軟性が他社との差別化軸です。APMという市場カテゴリそのものを生み出した老舗らしく、長期的な機能の網羅性と運用ノウハウは依然として強力で、中堅以上の企業がDatadogと比較検討する際の有力な対抗馬として位置付けられています。
まとめ
New RelicはLew Cirneが2008年に立ち上げたAPM市場の老舗で、現在はNRQLを核に据えたフルスタック可観測性プラットフォームへ進化しています。2023年の非公開化を経て長期投資に舵を切り、使用量ベース課金と100GB無料枠で開発者の手元へ近付く戦略を採るなど、Datadog・Dynatraceと並ぶ可観測性SaaSの主要プレイヤーとして存在感を保ち続けています。
※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

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