
IPv4(Internet Protocol version 4)は、1981年9月にIETFのRFC 791として制定された、32ビットアドレス空間を持つネットワーク層プロトコルです。ヴィント・サーフとボブ・カーンらの初期TCP/IP研究を経て、ジョン・ポステルが編集を担当し、1983年1月1日のARPANETでのTCP/IPフラグデーをきっかけに、インターネットの全機器が話す共通言語となりました。約43億個(2^32)のアドレス空間は2011年に中央在庫が枯渇し、運用は限界を迎えつつありますが、それでもIPv4は今も世界で最も使われているネットワークプロトコルです。
この記事の目次
- 32ビットアドレスとドット記法
- 1981年RFC 791とジョン・ポステル
- アドレス枯渇という結末
- プライベートIPと特別なアドレス
- まとめ
32ビットアドレスとドット記法

IPv4のアドレスは32ビット長で、8ビットずつ4組に分けて10進数で表記します。例えば「192.168.0.1」のような形式で、それぞれの数値は0~255の範囲を取ります。アドレス空間の総数は2^32 = 4,294,967,296個、約43億個になり、発表当時の1981年には「人類全員に配れる」ほどの規模に思えたものの、現代のスマホ・IoTを含む数百億機器時代には全く足りない数となりました。
1993年のCIDR(Classless Inter-Domain Routing、RFC 1518/1519)以前は、クラスA(/8、16,777,216個)、クラスB(/16、65,536個)、クラスC(/24、256個)という固定区切りで割り当てられていました。この方式はクラスBが慢性的に不足し、クラスAは大企業に過剰割当という非効率を生んだため、CIDRで任意のビット長プレフィックスへ移行しました。現在は「192.168.0.0/24」のようなCIDR表記が標準で、サブネット設計の柔軟性が大きく改善されています。
1981年RFC 791とジョン・ポステル

IPv4のルーツは、1974年にヴィント・サーフとボブ・カーンが発表したTCP原型論文に遡ります。当初は単一プロトコル「TCP」として設計されていましたが、1978年の改訂で経路選択を担うIP(Internet Protocol)と信頼性を担うTCPに分離され、現在の2層構造になりました。1981年9月、編集者ジョン・ポステルによりIPv4がRFC 791として正式公開され、同月にTCPもRFC 793として標準化されました。
「IPv4」という名前ですが、正確には実用化された最初のIPが4でした(バージョン1~3は研究用試作で広く使われませんでした)。1983年1月1日、ARPANETは旧プロトコル(NCP)からTCP/IPへの一斉切り替えを行い、これが今日のインターネットの直接の祖となりました。ポステルは2002年に亡くなるまでIANA(Internet Assigned Numbers Authority)の運営者として、アドレス割当・ポート番号管理を一手に担い「インターネットの神」と呼ばれた人物です。
アドレス枯渇という結末

32ビットのアドレス空間が足りなくなる予測は1990年代から繰り返されていました。1993年のCIDR導入と1994年のNAT登場で延命策が打たれましたが、2011年2月3日、IANAは最後の/8アドレスブロックを地域インターネットレジストリ(RIR)へ配り終え、中央在庫が公式に枯渇しました。アジア太平洋を管轄するAPNICは2011年4月、欧州のRIPE NCCは2012年9月、北米のARINは2015年9月にそれぞれ通常配布を停止しています。
現在は中古市場でIPv4アドレスが取引されており、2010年代後半には1IPあたり数十ドル~200ドル前後の相場がついています。クラウド事業者は固定IPv4の保有数で課金体系を設計しており、AWSも2024年からアタッチされていないElastic IPに対する課金を開始しました。完全な代替には全インターネットをIPv6へ移行する必要がありますが、後方互換性のなさから、「v4とv6を併用するデュアルスタック」運用が長く続いており、IPv4は当面消えそうにありません。
プライベートIPと特別なアドレス

IPv4には特別な意味を持つアドレスブロックがいくつか予約されています。RFC 1918(1996年)で定義されたプライベートIPアドレスは、組織内のLANで自由に使え、インターネットへは出ない範囲です。「10.0.0.0/8」「172.16.0.0/12」「192.168.0.0/16」の3ブロックが該当し、家庭用ルータの初期値「192.168.0.1」や「192.168.1.1」もここから取られています。
「127.0.0.0/8」はループバックアドレスで、127.0.0.1は自分自身(localhost)を指します。「169.254.0.0/16」はリンクローカルで、DHCPサーバが見つからないときにOSが自動で振るAPIPAアドレスとして使われます。「224.0.0.0/4」はマルチキャスト用、「255.255.255.255」はブロードキャストで、DHCP Discoverやmagic packetなどLAN全体への通知に使われます。これらの仕様を理解しておくことは、ネットワークトラブルシュートの土台となる重要な知識です。
まとめ
IPv4はRFC 791として1981年に標準化され、人類が初めて世界規模で繋がるための共通プロトコルとなりました。32ビットの限界に達した今も、CIDRやNATで延命されながら現役で動き続けており、世界の通信の大半をこなしています。IPv6への完全移行が完了するまで、IPv4の理解はネットワーク技術者にとって基礎中の基礎であり続けます。
※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

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