
Amazon EKS(Elastic Kubernetes Service)は、AWSが2018年6月に一般提供を開始したマネージドKubernetesサービスです。アップストリームのKubernetesをそのまま動かす形で、コントロールプレーン(kube-apiserver・etcd・コントローラマネージャ)の運用をAWSが代行し、利用者はワーカーノードとマニフェストの管理に集中できます。CNCFのKubernetes準拠認証を受けており、kubectlやHelmといった標準ツールがそのまま使えるため、GKEやAKSとの相互運用性が高い点も特徴です。ECSが「AWS独自方式」だったのに対し、EKSは「Kubernetes標準を取り込む」戦略として位置付けられ、エンタープライズ採用が急速に進んだサービスです。
この記事の目次
- コントロールプレーンとデータプレーンの分離
- 2018年GAから主要LLM学習基盤までの歩み
- エンタープライズ採用が進む現場像
- ECS・GKE・自前K8sとの比較
- まとめ
コントロールプレーンとデータプレーンの分離

EKSの構造はKubernetesらしく「コントロールプレーン」と「データプレーン」が明確に分かれます。コントロールプレーンはAWSがマルチAZ冗長で運用し、kube-apiserverやetcdのアップグレード・パッチ適用・スケーリングは利用者が触れない仕組みです。データプレーン側はマネージドノードグループ(EC2を裏で自動管理)・セルフマネージドノードグループ・FargateプロファイルというPod実行基盤の3形態から選べます。
ノードグループはAuto Scaling Groupの上に構築され、Karpenter(AWS製の高速ノードオートスケーラ)と組み合わせるとPodの要求に応じて秒単位でEC2を起動できます。Fargateプロファイルを使えばPodごとにサーバレス実行となり、ノード運用そのものを消せます。AWS LoadBalancer Controllerを入れるとIngressリソースがALBに、ServiceがNLBに変換され、AWSのネットワーク資源とKubernetesリソースが透過的に対応する設計になっています。
2018年GAから主要LLM学習基盤までの歩み

EKSは2017年11月のre:Inventで発表され、2018年6月に一般提供開始となりました。Google Cloudが2014年からGKEを提供し、Azureが2017年にAKSをGAしていた中で、AWSはECSを擁していたためKubernetes対応が遅れていましたが、顧客の標準化要求の強まりに応える形でEKSを投入しました。
2019年12月にはEKS on Fargateが発表され、ノードを意識せずPodを動かせる構成が選べるようになります。2021年にKarpenterがオープンソース化されると、ノード追加の遅さがEKSの弱点だった状況が改善され、2024年以降は事実上の標準オートスケーラとして組み込みやすくなりました。GPUノードのサポート強化も進み、HuggingFaceやAnthropicを含む大規模AI企業が学習・推論基盤の一部にEKSを採用している事例も増えています。EKS Anywhere(オンプレ向け)・EKS Distro(OSSディストリビューション)も登場し、AWS外でも同じKubernetes体験を再現する流れが整いました。
エンタープライズ採用が進む現場像

EKSが選ばれるのは、Kubernetes標準を前提としたエンタープライズ運用です。GKEやAKSと同じマニフェストを使えるため、マルチクラウドや将来的なクラウド移行を視野に入れる組織で第一候補になります。Helmチャートで自社サービスをパッケージ化し、ArgoCDやFluxを使ったGitOps運用を回す土台としても定着しています。
機械学習基盤としても普及が進んでおり、A100・H100搭載のEC2 P4d/P5系インスタンスをノードグループに組み込み、Karpenterで動的に確保しながら学習ジョブを流す構成が一般的です。Istio・Linkerdなどのサービスメッシュを導入してマイクロサービス間のmTLS・トラフィック制御を行う場面でも、EKSの標準準拠が前提条件として効いてきます。Crossplaneを使ってAWS外のリソースもKubernetesリソースとして宣言する高度な構成にも対応でき、Platform Engineering志向の企業に好まれています。
ECS・GKE・自前K8sとの比較

ECSはAWS独自APIでシンプルですが、移植性に欠けるため大規模・多クラウド組織には窮屈です。EKSはKubernetes標準APIを採用しつつ、IAM Roles for Service Accounts(IRSA)やVPC CNI、AWS LoadBalancer Controllerなどの統合機能でAWS資源を扱える「両取り」の設計が支持されています。
Google CloudのGKEは自動アップグレードや自動修復の手厚さに定評があり、運用負荷の軽さでは現在もK8s系の中で頭一つ抜けています。AzureのAKSはMicrosoft Entra IDとの統合が強く、エンタープライズ向けに採用されています。自前でVMにkubeadmを入れてK8sクラスタを組む方式は最大の自由度を持つ反面、コントロールプレーンの保守コストが大きく、EKSはこの「自前K8sの良いとこ取り」として位置付けられる選択肢です。
まとめ
Amazon EKSは2018年GAのマネージドKubernetesで、コントロールプレーンの運用をAWSが代行し、データプレーンはEC2・Fargateから選べます。Karpenter標準化やFargate対応、IRSAなどのAWS統合機能により、エンタープライズや機械学習基盤での採用が急速に進みました。ECSのAWS独自方式とは戦略を分けつつ、Kubernetes標準を前提とした組織にとっての最有力候補として定着しています。
※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

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