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AWS Glacierとは|超低価格の長期アーカイブストレージ

AWS Glacier アイキャッチ
AWS Glacier

AWS GlacierはAmazon Web Servicesが2012年8月に提供を開始した、長期アーカイブ向けのクラウドストレージサービスです。もともとはS3とは別のサービスとして提供されていましたが、現在は「Amazon S3 Glacier」ファミリーとしてS3のストレージクラスに統合され、Instant Retrieval、Flexible Retrieval、Deep Archiveの3階層で構成されています。1GBあたり月0.00099ドル(Deep Archive)という極めて低価格な保存料金で、コンプライアンス用のログ保管、医療画像、放送局のマスター素材、研究データの恒久保管などに広く利用されています。

目次

この記事の目次

  1. Glacier誕生の経緯
  2. 3つの取り出し方式
  3. 活用シーンとパートナー
  4. コスト設計のコツ
  5. まとめ

Glacier誕生の経緯

Glacier誕生の経緯

AWSは2006年にS3、2009年にEBS、2010年にRDSとサービスを拡充する中で、企業の長期データ保管という未開拓のクラウド領域を狙って2012年8月にAmazon Glacierを発表しました。当時の保存料金は1GBあたり月0.01ドルで、テープライブラリ運用と同等以下の単価をクラウドで実現したのは画期的でした。「数時間〜数日の取り出し時間を許容する代わりに、極端に安く保存する」というコールドストレージの思想を、世界中の中堅企業の手が届く価格で初めて提供したサービスといえます。

その後、2018年にS3のストレージクラス「S3 Glacier」「S3 Glacier Deep Archive」として再編され、2021年には即時取り出し可能な「S3 Glacier Instant Retrieval」が追加されました。2022年にはS3 Glacier Flexible Retrieval(旧S3 Glacier)の取り出し料金が大幅に値下げされ、よりアーカイブ運用が現実的になりました。現在のAWSアーカイブ階層は、S3 Standard-IAやS3 One Zone-IAも含めて段階的にコストとレイテンシをトレードオフできる、洗練された料金体系になっています。

3つの取り出し方式

3つの取り出し方式

現在のGlacierファミリーは3階層あります。S3 Glacier Instant Retrievalは保存料金1GBあたり月0.004ドル、取り出しはミリ秒で完了し、四半期に1度程度しかアクセスしない医療画像や法務文書に向きます。S3 Glacier Flexible Retrieval(旧S3 Glacier)は1GBあたり月0.0036ドルで、取り出しは1〜5分(Expedited)、3〜5時間(Standard)、5〜12時間(Bulk)の3モードを選べます。

もっとも安価なS3 Glacier Deep Archiveは1GBあたり月0.00099ドル、取り出しは12時間(Standard)または48時間(Bulk)で、テープアーカイブを置き換えるための階層です。東京リージョンでは1TB保存しても月約1ドルに収まる計算になり、コンプライアンスで7年以上の保管が義務付けられる業種でも現実的に運用できます。ただし、いずれのクラスもS3 Standardからの遷移には移行料金がかかり、最低保管期間(90日〜180日)以内に削除すると残期間分が請求されるため、ライフサイクル設計が重要になります。

活用シーンとパートナー

活用シーンとパートナー

Glacierの代表的なユースケースは、医療画像(DICOM)の長期保管、金融機関の取引記録、自治体の住民データ、放送局の番組マスター素材、衛星画像、ゲノムデータといった「めったに見ないが捨てられないデータ」です。Veeam、Commvault、Veritas NetBackup、Cohesityなど主要バックアップ製品がGlacierを階層化先としてサポートしており、「短期はオンプレ、中期はS3、長期はGlacier」という3段階のデータ管理がスタンダードな構成として定着しました。

AWS純正のAWS Backup、AWS Storage Gatewayも、Glacierを階層先に指定できます。Storage Gateway Tape Gatewayを使えば仮想テープライブラリ(VTL)としてオンプレのバックアップソフトに見せかけることができ、テープインフラからクラウドへの移行がスムーズに進みます。また、メディア業界ではEvolphin、Iconik、Vidispine(Arvato Systems)といったMAM製品がGlacier統合を提供しており、未編集素材のアーカイブパイプラインを構築できます。

コスト設計のコツ

コスト設計のコツ

Glacier利用時に最も注意すべきは、取り出し料金とライフサイクル設計です。保存料金は安いものの、取り出しには容量に応じた料金がかかり、特に大量データを短時間で全件復元する必要が生じると一気に費用が跳ね上がります。ディザスタリカバリ訓練として年1回はリストアテストを行い、想定費用とリードタイムを現実的な数字で把握しておくことが重要です。

ライフサイクルポリシーでは、「アップロードから30日後にStandard-IA、90日後にGlacier Flexible Retrieval、365日後にDeep Archive」のように段階的に階層を下げる設計が定石です。ただし最低保管期間に満たない削除はペナルティが発生するため、特にDeep Archiveの180日ルールには注意が必要です。監査ログや法令で保管期間が定められている場合は、S3 Object Lockを併用してCompliance ModeまたはGovernance Modeでロックをかけ、改ざん防止と誤削除防止を同時に実現する運用が定番です。

まとめ

AWS Glacierは、クラウドにおける長期アーカイブの定番として2012年から進化を続けてきました。Instant・Flexible・Deep Archiveの3階層で取り出し時間と料金を細かく選び分けられるため、コンプライアンス要件と予算のバランスを取りながら、テープ運用からクラウドアーカイブへの移行を後押しする中核的な選択肢になり続けています。

※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

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