
Cloudflareは2009年にMatthew Prince、Lee Holloway、Michelle Zatlynが米国カリフォルニアで創業したインターネット基盤企業である。出発点は無料CDNとWAFだったが、現在は世界310都市以上にエッジ拠点を展開し、Workers、R2、D1、Pages、Zero TrustなどフルスタックなEdgeプラットフォームへと進化を遂げた。本稿ではCloudflareの主要サービス、創業からの歩み、活用パターン、AWSなどクラウド大手との関係を整理する。
この記事の目次
- CDNからエッジクラウドへ
- 2009年創業から上場へ
- 現場での代表的な使い方
- AWSなどハイパースケーラーとの関係
- まとめ
CDNからエッジクラウドへ

Cloudflareの心臓はAnycast方式のグローバルネットワークで、世界310以上の都市にPoP(Point of Presence)を持ち、いずれの拠点に届いても同じIP・同じ証明書で応答する。これによりDDoSは到達した時点で分散吸収され、TLS終端は利用者最寄りで完了する。標準のCDNとWAFは無料プランから提供され、Webサイトの保護を「導入の壁を限りなく下げる」戦略で一気に広めてきた。
2017年にWorkersが登場、V8 Isolateベースの軽量サンドボックスでJavaScript/WebAssemblyを実行できる仕組みは、AWS Lambdaよりさらにコールドスタートが小さい。続いてR2(S3互換オブジェクトストレージ、Egress無料)、D1(SQLiteベースのエッジDB)、Workers KV、Durable Objects、Queues、Vectorize(ベクトル検索)など、データ層・計算層を矢継ぎ早に揃えている。Cloudflareは自社を「コネクティビティクラウド」と称し、AWSの代替ではなく補完軸を狙う立ち位置だ。
2009年創業から上場へ

Matthew Prince、Lee Holloway、Michelle ZatlynはHarvard Business Schoolで知り合い、Project Honey Potというボランティアプロジェクトを発展させる形でCloudflareを構想した。2009年に創業、2010年9月にTechCrunch Disrupt SFで公開ローンチを果たし、わずか数年で世界トップクラスのCDNサービスへと駆け上がった。
技術的な節目は2014年のUniversal SSLで、全顧客に無料TLS証明書を発行し当時の業界価格を破壊した。2017年のWorkers発表でエッジ計算企業へ脱皮し、2019年9月にニューヨーク証券取引所へ上場(ティッカーNET)。コロナ禍ではZero Trust製品が伸び、2024年時点で売上は年間14億USDを超える規模に達した。創業者の一人Lee Hollowayが病気のため2018年に第一線を退いた件は業界内で広く知られ、技術文化の継承課題として注目された。
現場での代表的な使い方

もっともポピュラーなのはWebサイトの前段にCloudflareを置く構成で、DNSをCloudflareに移すだけでCDN、TLS、WAF、Bot対策が同時に効く。L7 DDoS攻撃は到達前にチャレンジで弾かれ、攻撃ピーク時には数Tbps規模のトラフィックを吸収した実績もある。Page Rules、Cache Rules、Transform Rulesを組み合わせれば、複雑なキャッシュ戦略やヘッダ書き換えも宣言的に表現できる。
Workers + R2の組合せはコスト面で強力で、特にR2はS3と異なりEgress無料のため、画像配信や動画ストリーミングのコストを劇的に下げる事例が多い。社内アクセス管理にはZero Trust(旧Cloudflare Access)が定番化しつつあり、VPN代替として導入する企業が増えた。Cloudflare TunnelはオンプレのサーバをインターネットへIPを公開せず安全に露出でき、SSHやRDPの代替経路として運用される。
AWSなどハイパースケーラーとの関係

AWS、Azure、Google Cloudのいわゆるハイパースケーラーは「リージョン+AZ」単位で計算とストレージを売る設計に対し、Cloudflareは「最寄りエッジに常駐する」設計でWeb前段の体験を強化する。R2のEgress無料は、AWS S3の高めのデータ転送費に対する明確なアンチテーゼで、メディア配信を行う事業者にとっては年間数千万円規模の差を生む。
ただしCloudflareは伝統的なIaaSではなく、VM起動やデータ分析、機械学習基盤の幅では大手三社に及ばない。実務ではAWS/Azure/GCPでアプリの中核を作り、その前段にCloudflareを敷くハイブリッド構成が現実解となる。多くのSaaSがこの組み合わせを採用しており、両者は競合というより補完関係と言える状況だ。
まとめ
Cloudflareは無料CDNから始まり、エッジ計算とストレージを束ねるユニークなクラウドへと変貌した。Workers、R2、Zero TrustといったプロダクトはWebの新しい構築様式を提示する。AWSの代替ではなく補完として活用する発想を持てば、コスト、レイテンシ、セキュリティの3軸で大きな効果を得られる存在となる。
※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

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