
Figmaはブラウザ上で動作するベクター描画ベースのUIデザインツールで、GoogleドキュメントのようにURLを共有するだけで複数人が同じファイルを同時編集できる点が特徴です。2016年にディラン・フィールドとエヴァン・ウォレスがサンフランシスコで一般公開、瞬く間にSketchやAdobe XDのシェアを奪い、UIデザインのデファクトとなりました。2022年にはAdobeが200億ドルでの買収を発表しましたが、独占禁止当局の懸念で2023年12月に破談となり、現在は独立企業のまま事業を継続しています。
この記事の目次
- WebGLレンダリングと共同編集
- Adobe買収中止までの軌跡
- デザインから実装までの実務
- Sketch・Adobe XDとの違い
- まとめ
WebGLレンダリングと共同編集

Figma最大の技術的特徴は、WebGLとC++/Rustで書かれた描画エンジンをブラウザで動かしている点です。Macでしか動かなかったSketch、デスクトップアプリ前提だったAdobe XDに対し、Figmaは「OSを問わず、URLを開けばすぐに使える」ことを実現しました。Googleドキュメントのように複数ユーザーのカーソルが同じ画面に表示され、編集も保存もリアルタイムで行われます。
デザイン制作の中核となるのが「コンポーネント」「バリアント」「Auto Layout」の3機能です。ボタンやヘッダーといった再利用部品を1つ定義しておけば、すべての画面で同じ部品を呼び出して整合性を保てます。バリアントで状態違い(ホバー、無効、選択中など)を束ね、Auto LayoutでFlexbox相当のレイアウト制約を表現することで、実装の構造に近い「動かせるデザイン」が作れる設計になっており、エンジニアとの引き継ぎが極めてスムーズです。
Adobe買収中止までの軌跡

Figmaは2012年、当時19歳でブラウン大学を中退したディラン・フィールドと、WebGL分野で論文を発表していたエヴァン・ウォレスによって創業されました。Peter Thielの「Thiel Fellowship」を受けて起業に集中し、約4年の長い開発期間を経て、2016年9月に一般公開。当初はサンフランシスコのデザイナーコミュニティで火がつき、その後Twitter、Microsoft、Slack、Airbnbなど大手テック企業へと採用が広がりました。
2022年9月、AdobeがFigmaを200億ドルで買収する計画を発表しましたが、イギリスCMAとEUの独占禁止当局が「PhotoshopやXDとの統合がデザインソフト市場の競争を阻害する」と懸念を示し、2023年12月、両社は買収の取りやめを正式発表しました。Adobeは違約金10億ドルをFigmaに支払い、Figmaは独立企業として事業を継続。結果としてFigmaはAdobe X的なポジションから抜け出し、独自のIPO(株式公開)路線を歩み始めています。
デザインから実装までの実務

Figmaは個人デザイナーのスケッチから企業のデザインシステム運用まで、用途の幅が極めて広いツールです。コンポーネントとスタイル(カラー、タイポグラフィ、エフェクト)をライブラリ化し、全社で同じ部品を再利用する「デザインシステム」を構築できるのが大企業導入の決め手になっています。Material Design、Polaris、CarbonなどデザインシステムのリファレンスもFigmaで公開されており、業界の共通言語化が進みました。
プロトタイプ機能を使えば、画面間の遷移やインタラクションをコードなしで再現でき、ユーザーテストや社内レビューに直接使えます。Devモード(旧Inspect)ではエンジニア向けにCSSやSwift/Kotlinのコードスニペット、画像書き出し、Auto Layoutの構造情報が表示され、デザインから実装への引き継ぎコストを大きく下げました。姉妹製品のFigJamでアイデア出しから入り、Figmaで作り込み、Devモードで実装へ渡す、という一気通貫が定番です。
Sketch・Adobe XDとの違い

Sketchは2010年にMac専用デザインツールとして登場し、Photoshop偏重だった当時のUI業界をシンプルさで席巻しました。Adobe XDはAdobeの後発参入で、PhotoshopやIllustratorとの連携を強みに2017年頃から推進されましたが、2023年にAdobeは新規販売を実質停止し、ほぼ開発リソースを縮小しました。両者の衰退の最大の要因は「Mac限定」と「リアルタイム共同編集に弱い」点で、Figmaがそのギャップを突いた形です。
近年はPenpot(オープンソース版Figma的存在)やFramer(実装出力に特化)など、新たな対抗馬も登場しています。それでも世界のUIデザイン業界では事実上Figmaが標準で、就職活動でも「Figma使えること」がほぼ前提条件になりました。Adobeとの買収破談を経て独立路線に戻ったFigmaは、AI機能(First Draft、Make Designs)の投入や、Devモード強化を通じて、デザインからエンジニアリングまでを橋渡しするプラットフォームへと進化を続けています。
まとめ
FigmaはブラウザWebGLとリアルタイム共同編集で、UIデザイン業界の景色を変えた製品です。Adobe買収の中止を経て独立企業として歩み、デザインシステムからエンジニア連携までを担う中核ツールとして、2026年現在も業界標準の座を守り続けています。
※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

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