
GlusterFSは、2005年にAnand Babu Periasamy氏らが立ち上げたZ RESEARCH(後のGluster社)が開発したオープンソースの分散ファイルシステムです。メタデータサーバーを持たない「Elastic Hash」アルゴリズムでファイルの配置先を決定する設計が特徴で、シンプルな構成と運用のしやすさから、メディア企業や教育機関でNAS拡張の選択肢として広く採用されてきました。2011年にRed Hatに買収され「Red Hat Gluster Storage」として商用展開されましたが、2024年にRed Hatは新規開発の終了を発表し、現在はコミュニティが保守を続ける段階に入っています。
この記事の目次
- GlusterFSの歴史的背景
- アーキテクチャの特徴
- 向くワークロード
- 移行と今後の選択肢
- まとめ
GlusterFSの歴史的背景

Anand Babu Periasamy氏とHitesh Chellani氏は2005年にカリフォルニア州サニーベールでZ RESEARCHを設立し、「コモディティハードウェアで構築できるシンプルな分散ファイルシステム」というビジョンでGlusterFSの開発を始めました。当時はLustreやGPFSのような分散ファイルシステムが主流でしたが、いずれもメタデータサーバーの管理が複雑でハードルが高い状況でした。Glusterはこれを打破するため、メタデータサーバーを完全に取り除き、FUSEベースで動作する設計を採用しました。
2011年にRed Hatが約1億3600万ドルでGluster社を買収し、Red Hat Storage Server(後にRed Hat Gluster Storage)として企業向けに展開されました。OpenShiftの永続ボリューム基盤(gluster-block、heketi)としても採用され、コンテナ時代のストレージ基盤候補の一つでした。しかし2024年、Red HatはGluster Storageの新規開発を終了しCephへの統合戦略を打ち出しました。オープンソース版GlusterFS自体はコミュニティで継続開発されており、既存導入環境の保守は当面続けられる状況です。
アーキテクチャの特徴

GlusterFSのコア概念は「ブリック(brick)」と「ボリューム(volume)」です。ブリックは各サーバーの実ディスク上のディレクトリで、複数のブリックを束ねたものがボリュームです。ボリュームには分散(Distributed)、レプリカ(Replicated)、ストライプ(Striped)、分散レプリカ(Distributed-Replicated)、Erasure Coding(Disperse)などのタイプがあり、用途に応じて使い分けます。ファイルはElastic Hashによりブリックに割り振られ、メタデータサーバーへの問い合わせが発生しません。
クライアント側はFUSE経由でマウントするのが基本で、mount -t glusterfs server1:/volname /mnt/gv のように使えます。NFS互換のGlusterNFS(Ganeshaベース)、SMBエクスポート、そしてgfapi(libgfapi)を介した直接アクセスもサポートし、KVM/QEMUなどから仮想ディスクとして利用することも可能です。Cephと比較するとアーキテクチャはずっとシンプルで、3〜5ノード程度の小規模クラスタでも比較的扱いやすい点が現場での評価ポイントです。
向くワークロード

GlusterFSが歴史的に多く採用されてきたのは、メディア素材保管、Webコンテンツ配信、HPCの中規模ストレージ、VMイメージ置き場といった用途です。比較的大きなファイル(数MB〜数GB)を扱うシーケンシャル読み書き中心のワークロードと相性がよく、POSIX準拠のファイルシステムとして既存のNFS運用から自然に移行できる点も導入のしやすさにつながっていました。
一方で、小さなファイルの大量作成(数百万件規模のメール、ログファイル群)は苦手とされ、ディレクトリ走査やlsのレイテンシが大きく増えるという特性があります。また、書き込みレイテンシに敏感なデータベースやコンテナレジストリのような用途では、CephのRBDやNFSキャッシュ層との併用が推奨されてきました。OpenShift Container Storageは2020年代前半までGlusterFSベースでしたが、現在はCephベースのODFに統一されています。
移行と今後の選択肢

2024年のRed Hat Gluster Storage新規販売終了を受け、既存ユーザーは今後の移行戦略を考える必要があります。選択肢としては、CephFSへの移行、MinIOへのオブジェクトストレージ化、商用NAS(NetApp、Dell PowerScale)への移行などがあり、ワークロード特性とコスト要件を踏まえて選定するのが現実的です。POSIXファイルアクセスが必須ならCephFSや、Lustreなどが代替候補になります。
コミュニティ版GlusterFSは現在もGitHubで開発が継続されており、緊急セキュリティパッチや小規模機能追加は当面続く見込みです。ただしRed Hatのリソース集中がCephに移ったことで、長期的には新機能追加が鈍化することは避けられません。新規プロジェクトであえてGlusterFSを選ぶ理由は減ってきており、既存資産の保守と並行して、3〜5年スパンでの移行計画を立てるのが妥当です。小規模NAS用途であればTrueNAS Scale(ZFS+クラスタ)やLINBIT LINSTOR+DRBDなど、別系統の選択肢も検討に値します。
まとめ
GlusterFSは、メタデータサーバーレスというシンプルな思想で2000年代後半からの分散ファイルシステムを牽引してきた存在です。Red Hatの開発終了で勢いは衰えましたが、既存環境の保守と移行計画の立て方を理解しておくことは、ストレージ刷新を担当する技術者にとって今なお実務的に重要な知識と言えるでしょう。
※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

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