
Rocky LinuxはCentOSの共同創設者の一人であるGregory Kurtzer氏が2020年12月に立ち上げたRHEL互換のLinuxディストリビューションである。Red Hatが同月に発表したCentOS Streamへの方針転換によって、従来の安定したRHELクローンの提供が終了することへの対応として生まれた。名前は2014年に亡くなったCentOS共同創設者Rocky McGaugh氏への敬意から命名されており、エンタープライズLinuxの選択肢を維持するという明確な使命を負っている。
この記事の目次
- CentOS Stream移行騒動からの誕生
- 1:1のRHEL互換性という設計目標
- AlmaLinuxとの並走と棲み分け
- RESFと長期サポートの仕組み
- まとめ
CentOS Stream移行騒動からの誕生

2020年12月8日にRed HatがCentOS 8のサポート短縮とCentOS Streamへの一本化を発表すると、世界中の運用現場で動揺が走った。多くの組織がRHELの無料の二次配布物としてCentOSを採用しており、突然のサポート短縮はライセンスやサーバー再構築のコストに直結したからである。同日中にKurtzer氏がGitHub上でRocky Linuxという名前のプロジェクトを宣言し、わずか数日で1,500人以上の協力者が集まった。
プロジェクトは非営利のRocky Enterprise Software Foundation(RESF)を米国デラウェア州に設立し、運営の独立性とブランド保護を法的に担保した。2021年6月にRocky Linux 8.4が最初の安定版として登場し、CentOS 8からのアップグレードスクリプトmigrate2rockyも整備された。発表から半年強での安定版到達は、コミュニティの危機感とエネルギーの大きさを物語っている。
1:1のRHEL互換性という設計目標

Rocky Linuxの設計目標は、RHELのソースコードに対してバグ単位で1:1互換であることに集中している。SELinuxポリシー、システム上のパス、パッケージ命名、デフォルト設定をそのまま揃えることで、RHEL用に書かれた手順書や認定アプリケーションがそのまま動く環境を提供する。エンタープライズの認証(Oracle DB、SAPなど)もRHELと同水準を目指すことが明文化されている。
2023年6月にRed HatがCentOS Stream以外への公式ソース提供方針を変更すると、Rocky LinuxはUBI(Universal Base Image)ベースの抽出やcloud providerからの確認用ソース取得など、複数の独立した経路を組み合わせてビルドを継続することを表明した。AlmaLinuxと並走する形ではあるが、互換性の維持に必要なエンジニアリングを継続的に投資している。
AlmaLinuxとの並走と棲み分け

同じくRHELクローンとして2021年に登場したAlmaLinuxはCloudLinux社の支援を受けており、Rocky Linuxとは別チームの開発体制を持つ。両者は基本的に互換性目標を共有しながら、ABI互換の解釈やセキュリティアドバイザリの提供方法、リリース速度などで微妙に異なる方針を採っている。利用者は実質的に好みで選べる状況にあり、競合というより並列のオプションに近い。
Rocky Linuxはコンテナイメージのほか、Amazon、Google Cloud、Azureなど主要クラウドのMarketplaceで公式提供されている。GitHubコミュニティとSIGs(Special Interest Groups)による分業体制も整いつつあり、企業の本番サーバー、HPCクラスタ、放送機器のコントローラなど、CentOSの後継として広範な現場で採用が進んでいる。
RESFと長期サポートの仕組み

Rocky Linuxの各メジャーバージョンはRHELと同じく10年のサポート期間を持つ。Rocky 8は2029年5月まで、Rocky 9は2032年5月までセキュリティアップデートが提供される予定だ。エンタープライズで重要視されるFIPS認証やオフラインリポジトリのミラー、商用サポートの選択肢などもパートナー企業を通じて利用できる。
RESFはRocky Linuxだけを所有するのではなく、関連プロジェクト(Peridot、Mountainなど)も含めて知的財産を保護する役割を担う。Peridotはマルチアーキテクチャ対応のビルドシステムで、RHEL互換以外のディストリ構築にも応用できる。CentOS移行騒動から数年経った2026年現在、Rocky LinuxはCentOSが占めていた無料の業務用Linuxの地位を着実に引き継ぎつつある。
まとめ
Rocky LinuxはCentOS Stream移行という業界全体の動揺の中で、ほぼゼロから立ち上がり、わずか半年で安定版に到達したコミュニティ主導の偉業である。RESFという法的枠組みと1:1のRHEL互換性という明確な目標、10年サポートというエンタープライズ志向の運用が組み合わさり、現代のサーバー運用において最重要の選択肢の一つに成長している。
※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

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