MENU

vLLMとは|PagedAttentionで実現する高速LLM推論エンジン

vLLM アイキャッチ
vLLM

vLLM(ブイエルエルエム)は、2023年6月にUC Berkeleyの研究チームが発表したオープンソースのLLM推論エンジンです。GPUメモリの非効率な使い方を解消する独自技術「PagedAttention」と、連続バッチング(Continuous Batching)を中核に据え、Hugging Face Transformers比で数倍〜十数倍のスループットを実現します。Llama、Mistral、Qwen、DeepSeek、Mixtralなど主要OSSモデルに対応し、OpenAI互換APIサーバも内蔵しているため、自社LLMサービスを高効率に立ち上げたい企業や研究機関のデファクトスタンダードに急速に成長しました。

目次

この記事の目次

  1. PagedAttentionが解決する課題
  2. 連続バッチングとスループット
  3. OpenAI互換APIと運用
  4. 活用シーンと採用時の検討事項
  5. まとめ

PagedAttentionが解決する課題

PagedAttentionが解決する課題

LLM推論では、各リクエストの過去トークンに対するKey/Valueベクトル(KVキャッシュ)をGPUメモリに保持する必要があります。従来のHugging Face Transformersなどでは、リクエストごとに最大長を見越した連続メモリ領域を確保するため、未使用部分が大量に発生し、断片化と無駄が深刻でした。これが同時処理可能なリクエスト数(スループット)を大きく制限する根本原因でした。

PagedAttentionは、OSの仮想記憶ページングにヒントを得て、KVキャッシュを小さな固定サイズの「ブロック」に分割し、論理アドレスを物理ブロックにマッピングする方式に再設計しました。これによりメモリの断片化を大幅に減らし、複数リクエストでKVキャッシュを安全に共有することも可能になります。結果として、同じGPUメモリでより多くのリクエストを並行処理でき、スループットが飛躍的に向上します。

連続バッチングとスループット

連続バッチングとスループット

vLLMのもう一つの重要技術が「Continuous Batching(連続バッチング)」です。従来のバッチ推論では、最も遅いリクエストの完了をバッチ全体で待つため、短い応答が長い応答に引きずられて待たされ、GPUの利用効率が落ちていました。vLLMはトークン単位でスケジューラを動かし、完了したスロットに即座に新しいリクエストを投入することで、GPUを常に最大限稼働させます。

PagedAttention+Continuous Batchingの組み合わせは、対話型LLM APIと極めて相性が良く、同時利用ユーザー数の増加に対しても性能が破綻しにくいのが特徴です。Llama 3 8B/70BやQwen2.5、Mistralなどの最新OSSモデルでベンチマークが多数公開されており、Hugging Face Transformers比で2〜10倍以上のスループットが得られるケースが報告されています。コスト感度が高いLLMサービスにとって極めて魅力的な選択肢です。

OpenAI互換APIと運用

OpenAI互換APIと運用

vLLMは、OpenAI互換APIサーバとしての機能を標準で備えており、vllm serveコマンド一つでLlama 3やQwenなどを/v1/chat/completionsエンドポイントとして公開できます。クライアント側はOpenAI公式SDKのbase_urlを差し替えるだけで、既存実装をほとんど変えずに自社ホスト型LLMへ切り替えられます。これが、ローカル/オンプレ展開の障壁を大幅に下げています。

本番運用では、複数GPU・複数ノードへのテンソル並列/パイプライン並列展開、量子化(AWQ、GPTQ、FP8、INT8 KVキャッシュ)、Speculative Decoding、Function Calling対応、LoRAアダプタ動的ロードなど、エンタープライズ向け機能が継続的に拡充されています。Tritonバックエンドとしても利用可能で、Triton側でメトリクスやマルチモデル管理を担い、vLLMが推論コア部分を担当する構成も一般的です。

活用シーンと採用時の検討事項

活用シーンと採用時の検討事項

vLLMは、OSS LLMを自社環境で高効率にホストしたい場面で最有力の選択肢です。OpenAIやAnthropic APIに依存している既存サービスのコスト削減、機密性の高いデータを扱うため社内に閉じてLLMを動かしたいケース、社内ファインチューンモデルや小型派生モデルを大量に運用したいケースなどで多く採用されています。AWS、GCP、Azure、オンプレGPUクラスタなど環境を問わず動作します。

採用時の検討事項としては、対応モデル・量子化形式の確認、必要GPUメモリと並列構成の見積もり、Triton連携やゲートウェイ層の設計、SLA・モニタリング、ライセンス(vLLM自体はApache 2.0、モデル個別のライセンスは別)などが挙げられます。OSSの進化スピードが速いため、TensorRT-LLM、SGLang、TGI(Text Generation Inference)など他エンジンとの比較ベンチマークを定期的に行い、自社ユースケースに最適なエンジンを選び直す姿勢が重要です。

まとめ

vLLMは、PagedAttentionと連続バッチングという二つの革新で、OSS LLMの推論効率を一段引き上げたエンジンです。OpenAI互換APIを備え、コスト最適化と自社ホストのニーズに応える存在として、LLM時代の推論基盤を語る上で外せない選択肢となっています。

※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次