
Backblaze B2は、米国のクラウドバックアップ事業者Backblaze社が2015年に提供を開始したオブジェクトストレージサービスです。もともと個人・法人向けの月額制バックアップサービス「Backblaze Computer Backup」で培ったストレージポッドの設計ノウハウを汎用化し、S3よりはるかに安い保存料金でAPI公開したのが始まりです。現在ではS3互換APIも提供しており、CloudflareとのBandwidth Allianceを活用すれば配信料金まで抑えられるため、中小規模のSaaSやメディア事業者にとって魅力的な選択肢になっています。
この記事の目次
- Backblazeが歩んできた道のり
- B2の料金と特徴
- 向くユースケース
- 運用上の注意点
- まとめ
Backblazeが歩んできた道のり

Backblazeは2007年にGleb Budman氏らによって創業されたバックアップ専業のスタートアップで、サンマテオを拠点としています。創業初期から「自社設計のストレージポッド」と呼ばれる45ベイサーバーを公開設計図とともに公表し、独自のハードウェアで保存単価を徹底的に下げてきた点が特徴です。毎四半期公開する「HDD故障率レポート(Drive Stats)」は業界でも有名で、Seagate・WD・Toshibaなどのドライブを大量導入した実環境データを共有しています。
そのインフラを汎用に開放したのが2015年のB2 Cloud Storageで、リリース当初の保存料金は1GBあたり月0.005ドルと、S3の約4分の1の水準で話題を呼びました。2021年にはNASDAQに上場(ティッカーBLZE)、同時期にS3互換APIを正式公開し、既存のS3クライアントから乗り換えやすくなりました。現在は米国・EU・アジア太平洋の複数リージョンを提供し、企業バックアップ・メディア配信・データレイク用途で利用が広がっています。
B2の料金と特徴

B2の料金は2026年時点で、保存が1GBあたり月0.006ドル、エグレス(取り出し)が1GBあたり0.01ドルが基準ですが、毎月3倍の保存量までは無料で取り出せる「3x free egress」が適用されます。つまり1TB保存していれば月3TBまで配信が無料という計算になり、メディア事業者にとっては大きなメリットです。API呼び出し料金もアップロード関連が無料、ダウンロードクラスCのみ低額の課金で、料金体系がS3より見通しやすい点が好まれています。
もう一つの特徴がBandwidth Allianceで、CloudflareやFastlyなど一部のCDNを経由する場合、B2からCDNへのエグレスが無料になります。これによりCloudflare CDN+B2の組み合わせは「保存安・配信タダ」という強力な構成になり、Cloudflare R2登場以前から人気を集めてきました。現在もR2との二択というより、価格・既存運用・サポート体制で選び分けられるケースが多く、B2はサポート品質や課金透明性で評価されています。
向くユースケース

B2が得意とするのは、まずバックアップ用途です。Veeam、MSP360、Synology Hyper Backup、Arq、Restic、Duplicacyなどのバックアップソフトが公式にB2をサポートしており、NASやサーバーからのオフサイトバックアップ先として古くから定番です。Object Lockに対応しているため、ランサムウェア対策としてWORM(Write Once Read Many)モードでの保管も可能です。
もう一つはメディア配信・配布サイトです。ポッドキャストのMP3配信、教育動画の配信、ソフトウェアダウンロードサイト、ゲームMODの配布など、1ファイル数MBから数GBのファイルを大量に置く用途で、Cloudflare経由の配信と組み合わせれば月額コストを大きく削減できます。公開バケットとプライベートバケットを使い分け、認証付きダウンロードURLで配布制御することも可能です。
運用上の注意点

リージョン選択は重要なポイントで、現状ではus-west、us-east、eu-central(アムステルダム)、ap-southeast(シンガポール)などが選べます。日本のユーザーがアジア圏のリージョンを選ぶ場合はシンガポール経由となり、レイテンシは80〜120ms程度になる点を踏まえて配信前段にCDNを必ず置くべきです。リージョン間のレプリケーションはBackblazeのCloud Replication機能で組めますが、追加料金が発生します。
アカウント保護の観点では、アプリケーションキーをバケット単位で発行し、アクセス制限とプレフィックス制限を必ず設定します。ルートキー(master application key)はバックアップ用途以外で使わないのが鉄則で、漏洩時の被害を最小化できます。また、ライフサイクルルールで「最新版だけ残す」「30日後に古いバージョンを消す」などを設定しないと、削除済みファイルがバージョン履歴として残り続け、想定外に保存料金が膨らむため注意が必要です。
まとめ
Backblaze B2は、自社で長年磨いたストレージインフラを開放した、コストと透明性に強みを持つオブジェクトストレージです。Object Lockによるランサムウェア耐性、CloudflareとのBandwidth Alliance、豊富なバックアップ製品対応により、中小事業者の堅実な選択肢として今後も存在感を保ち続けるでしょう。
※本記事はIT用語辞典の手書きドラフトです。公開前に最新情報・出典を確認のうえ加筆修正してください。

コメント